作図シミュレーターは、定規とコンパスだけで中学数学の作図を練習できるWebアプリです。画面の上で点や交点をタップして線をひき、コンパスをまわして弧をかきます。かき終わったら「判定する」を押すと、作図が正しくできているかをアプリが確かめます。問題は、線分の垂直二等分線のような基本の作図から入試の形の問題まで、全部で25問です。
中学生向けです。中1の「平面図形」で作図を習ったところから、中3の「円」で出てくる接線の作図、高校入試の作図問題まで練習できます。白紙に図形を置いて自由に作図できるページもあるので、授業で作図を説明するときにも使えます。無料で、登録なしで使えます。
私は、指導のときに「こういう練習ツールがあれば」と感じたものを、自分で作って無料で公開しています。作図もその一つです。ノートで作図を練習していると、コンパスの跡が消えてしまい、どこで間違えたのかが分からなくなることがあります。このアプリは、かいた作図のどこが足りないかを、その場で文にして返します。
このアプリでできること
- 中学数学の作図25問を、画面の定規とコンパスで練習できます
- 「判定する」で正誤をその場で確かめられ、正しくないときは足りない条件が文で出ます
- 目分量でとった点を使った作図は、正解になりません
- 「ヒントを見る」でヒントが、「お手本を見る」で手順が、1つずつ出ます
- 点に「P」「A′」のような名前をつけられます
- 「自由に作図」で、白紙に図形を置いて作図できます
- 正解した問題には「✓ クリア」の印がつきます
中身の一覧
全25問を、4つのグループに分けています。番号はアプリの一覧と同じ(グループごとに1から)、「学年・場面」はアプリの問題ごとのページにある表記、「お手本」は「お手本を見る」で見られる手順の数です。
基本の作図(4問)
垂直二等分線・角の二等分線・垂線。ほかの作図の土台になる4つです。
| 番号 | 問題 | 学年・場面 | お手本 |
|---|---|---|---|
| 1 | 線分の垂直二等分線 | 中1「平面図形」の基本作図 | 3手順 |
| 2 | 角の二等分線 | 中1「平面図形」の基本作図 | 3手順 |
| 3 | 直線上の点を通る垂線 | 中1「平面図形」の基本作図 | 3手順 |
| 4 | 直線外の点から直線への垂線 | 中1「平面図形」の基本作図 | 3手順 |
角をつくる作図(8問)
正三角形から 60°・30°・90°・45°・120°・75°・105° の角をつくります。
| 番号 | 問題 | 学年・場面 | お手本 |
|---|---|---|---|
| 1 | 正三角形 | 中1「平面図形」 | 3手順 |
| 2 | 60°の角 | 中1「平面図形」 | 3手順 |
| 3 | 30°の角 | 中1「平面図形」 | 4手順 |
| 4 | 90°の角(線分の端に垂線) | 中1「平面図形」〜入試 | 5手順 |
| 5 | 45°の角 | 中1「平面図形」〜入試 | 7手順 |
| 6 | 120°の角 | 中1「平面図形」〜入試 | 4手順 |
| 7 | 75°の角 | 入試 | 7手順 |
| 8 | 105°の角 | 入試 | 7手順 |
いろいろな作図(8問)
平行線・円の中心・外心・内心・接線・対称な点です。
| 番号 | 問題 | 学年・場面 | お手本 |
|---|---|---|---|
| 1 | 平行線 | 中1「平面図形」〜入試 | 4手順 |
| 2 | 円の中心 | 中1「平面図形」〜入試 | 8手順 |
| 3 | 三角形の外心(外接円の中心) | 中1〜中3 | 7手順 |
| 4 | 三角形の内心(内接円の中心) | 中1〜中3 | 7手順 |
| 5 | 円の接線 | 中3「円」〜入試 | 6手順 |
| 6 | 直線について対称な点 | 中1「平面図形」の対称移動 | 2手順 |
| 7 | 点について対称な点 | 中1「平面図形」の対称移動・回転移動 | 2手順 |
| 8 | 線分を直径とする円 | 中1「平面図形」〜中3「円」 | 5手順 |
入試によく出る作図(5問)
「〜から等しい距離にある点」のような条件を読みかえて、基本の作図に直して解く問題です。
| 番号 | 問題 | 学年・場面 | お手本 |
|---|---|---|---|
| 1 | 直線上で2点から等しい距離の点 | 入試 | 4手順 |
| 2 | 2直線から等しい距離・2点から等しい距離 | 入試 | 8手順 |
| 3 | 辺の上で角を二等分する点 | 入試 | 4手順 |
| 4 | 直線に接して点を通る円の中心 | 入試 | 7手順 |
| 5 | 直線までの距離が最も短い点 | 入試 | 3手順 |
ヒントは1問に2〜3個、25問で67個あります。
それぞれの問題には専用のページ(たとえば線分の垂直二等分線のページ)があり、作図の画面の下に、作図の手順、完成図、なぜその作図で正しいのか、コツ、よくある質問が載っています。
使い方
1. 問題を選ぶ
最初の画面には、グループごとに問題が番号つきで並んでいます。上の「0 / 25 問クリア」は、このブラウザで何問正解したかです。
2. 問題の画面と道具
画面の幅がせまいとき(スマホなど)は、上から問題文、図、道具、「判定する」の順に並びます。幅が広いとき(パソコンなど)は、左に問題文と「判定する」、右に図と道具が並びます。図の下には、次に何をすればよいかの案内が出ます。
- 点:交点の印や、線・円の上をタップして点をとります。問題の画面では、何もないところには置けません
- 定規:「直線」「線分」「半直線」を選び、2つの点を順にタップします(1つ目から2つ目へ引っぱってもひけます)
- コンパス:中心をタップ → 半径を決める(点をタップするか、中心から外へ引っぱる)→ まわすように引っぱって弧をかきます。「円全体をかく」で1周かけます
- 消しゴム:消したい点・線・弧をタップします。与えられた図は消せません。消したものを使ってかいた点や線も、いっしょに消えます
- 名前:点をタップし、入力するか候補から選んで「決定」を押します。与えられた点の名前は変えられません
道具の下には「↶ もどす」「↷ やり直す」と、与えられた図だけに戻す「はじめから」があります。
線や弧が交わると、そこに薄い丸の印が出ます。「点」でこの印をタップするか、定規やコンパスでこの印を使うと、交点が点になり、名前が自動でつきます。
コンパスで一度決めた幅は、次の弧にも引き継がれます(「コンパスの幅:前回のまま」と出ます)。幅を変えるときは、中心をタップしたあと、弧をかく前に「幅を変える」を押して決め直すか、ほかの点をタップします(その点までの幅になります)。
3. かいてみる(線分の垂直二等分線の例)
- 「コンパス」を選び、点Aをタップします
- 中心から外へ引っぱって、半径をABの半分より長くします
- ABの上と下の両方にかかるように、まわすように引っぱって弧をかきます
- 点Bをタップします。幅は前回のままなので、そのまままわして弧をかきます
- 2つの弧が交わる2か所に印が出ます。「定規」を選び、「直線」のまま、上の印と下の印をタップします
- 「判定する」を押します。「正解!」と出れば、その問題にクリアの印がつきます
答えが点の問題(円の中心、対称な点など)では、最後に「点」で答えの交点の印をタップして、点にしてから判定します。
4. 判定のしくみ
「判定する」を押すと、次の順に確かめます。
- お手本の線が残っていないか:お手本でかかれた線が図に残っているときは判定せず、「これはお手本の図です」と出ます。「自分でやってみる」か「はじめから」で消してから、自分でかきます
- 条件を満たしているか:自分でかいた線・点・円の中から、条件にいちばん近いものを選んで確かめます(途中でかいた弧や線は残っていてかまいません)。垂直二等分線なら「ABの中点を通る」「ABと垂直」の2つです。足りないときは、「ABと垂直になっていません。2つの弧の交点を結びましょう。」のように足りない条件が出ます。ずれは、図の幅を1000としたときの1.5まで、角度は0.4°までしか認めません
- 答えが交点から作られているか:形が合っていても、答えの線や点が、線の上に目分量でとった点から作られているときは「もう少し」と出て、正解になりません。線や円の上にとった点は、途中の作図(円周上に点をとる、など)には使えます
全部に合うと「正解!」と出ます。25問のうち、線をかいて答える問題が13問、点を求める問題が11問、円をかく問題が1問です。正三角形は、点Cをとったあと、AC・BCを定規で結ぶまで正解になりません。線分を直径とする円は、円を1周かいて答えます(「円全体をかく」が使えます)。
5. ヒントとお手本
「ヒントを見る」を押すと、ヒントが1つ出ます。もう一度押すと次のヒントが出て、最後まで出ると「ヒントはここまで」になります。
「お手本を見る」を押すと、図が与えられた図だけに戻り、手順が1つずつ(1.7秒ごとに)図にかかれていきます。枠の中には「お手本 2 / 3」のように何手順目かと、それまでの手順の文が出ます。「最後まで見る」で最後の手順まで進み、「自分でやってみる」でお手本の線が消えて、自分でかけるようになります。
手順が分かったら、「自分でやってみる」で図を消し、何も見ないでかいてから「判定する」を押してください。クリアしたあとも、1回できただけで終わりにせず、日をあけてもう一度かいてみてください。
6. 自由に作図
画面の上の「自由に作図」(最初の画面では「自由に作図する →」)を押すと、白紙のページが開きます。「点」「線分」「直線」「三角形」「円」「角」のボタンで図形を置き、問題と同じ道具で作図できます。ここでは何もないところにも点を置けます。判定・ヒント・お手本はありません。自分で考えた作図を試すのにも使えます。
こう作ってある理由
目分量の点では正解にしない
作図は、与えられた点と、コンパスと定規でできた交点だけを使ってかくもので、定規の目盛りで測ったり、それらしい場所に点を置いたりすることは認められません。ところが画面の上では、それらしい場所をタップすれば、形だけ合った線がひけてしまいます。そこで判定では、答えの線や点が与えられた点と交点だけから作られているかまで確かめ、問題の画面では何もないところに点を置けないようにしています。
答えではなく、足りない条件を返す
私は、間違えたらすぐに確かめ、できなかったらもう一度確かめる、というやり方をすすめています。作図も、かきっぱなしにせず、その場で合っているかを確かめられるようにしました。
正しくないときに出る文は、正しい図ではなく、「中点を通っていません」「垂直になっていません」のような足りない条件です。何を直せばよいかを、自分で考えられるようにしています。私の指導でも、答えを渡すより、どこでつまずいているのかを一緒に探すことを大事にしています。
答え合わせについては、こんな実験があります。選択式のテストのあと、答え合わせをしなかった問題は1週間後の正解が31%でしたが、1問ごとにすぐ答え合わせをした問題は45%、テストが終わってからまとめて答え合わせをした問題は56%でした(Butler & Roediger, 2008)。ただし、大学生が歴史の文章の内容を覚える実験で、作図を調べたものではありません。
お手本を見ただけでは、クリアにならない
お手本を眺めているだけだと、分かったつもりになりやすく、何も見ずにかけるとは限りません。そこで、お手本の線が残っている図は判定しないようにしました。ヒントを1つずつしか出さないのも、全部を見る前に、どうすれば解けるかを自分で考えてほしいからです。
コンパスの幅を引き継ぐ
作図では「同じ半径で弧をかく」手順がくり返し出てきます。同じ半径でかくことで、辺の等しい三角形やひし形ができ、そこから角や垂直・平行が決まります。本物のコンパスと同じように、このアプリのコンパスも、一度決めた幅を次の弧に引き継ぎます。
基本の4つから入試の形へ
問題は、基本の作図から入試によく出る作図へと順に並べています。あとの問題のお手本には、垂直二等分線や角の二等分線の手順がそのまま部品として出てきます。入試の形の問題は、「2点から等しい距離」なら垂直二等分線、「2直線から等しい距離」なら角の二等分線、「最も短い」「接する」なら垂線というように、問題文の条件を基本の作図に読みかえて解きます。
よくある質問
無料ですか?登録は要りますか?
無料です。登録もログインもなく、ブラウザで開けばすぐに使えます。
記録はどこに残りますか?
残るのは、どの問題を正解したか(クリアの印)だけで、使っている端末のブラウザの中に保存されます。アプリのプログラムには、この記録をどこかへ送る処理はありません。別の端末やブラウザとは共有されず、ブラウザのサイトデータを消すとクリアの印も消えます。かいた図は保存されないので、ページを移ったり再読み込みしたりすると消えます。
スマホで使えますか?
使えます。指でタップし、コンパスは画面をなぞるように引っぱって弧をかきます。タブレットやパソコン(マウス)でも使えます。
印刷できますか?
印刷用のボタンや、かいた図を画像で保存する機能はありません。問題ごとのページの下には、作図の手順と完成図が載っています。
お手本と違う手順でかいても、正解になりますか?
なります。判定では、できあがった図の条件と、答えが与えられた点と交点だけから作られているかを確かめ、かいた順番は見ていません。たとえば75°は、45°と30°を組み合わせてつくっても、条件を満たしていれば正解です。
答えが2つある作図は、どちらでもいいですか?
正三角形(ABの上側と下側)や円の接線(円の外の点から2本ひける)は、どちらをかいても正解です。「2直線から等しい距離・2点から等しい距離」は、問題文のとおり、ℓとmではさまれた角の内部の点だけが正解です。
点の名前が問題文と違うと、不正解になりますか?
なりません。名前は判定に使っていません。正解したときに答えの点の名前が問題文と違えば、「H と名づける」のようなボタンで付け直せます。
参考
- Butler, A. C., & Roediger, H. L. (2008). Feedback enhances the positive effects and reduces the negative effects of multiple-choice testing. Memory & Cognition, 36(3), 604–616.