証明問題、白紙で出してない?

計算はできるのに、証明問題だけ真っ白…ということはないかな。

でもね、証明が書けないのは、数学の力やひらめきが足りないからとは限らないよ。「書き方のルール(型)」を知らないだけかもしれない。

最初に伝えたいこと
証明には決まった型がある。型を覚えれば、証明は作文じゃなく穴埋めに近くなる。
👦
証明って、何から書けばいいのか全然わかんない。答え見たら「あーそうか」って思うんだけど、自分では書けない。
👨‍🏫
それ、めちゃくちゃ正常な反応だよ。答えを見て納得できてるなら、理解力の問題じゃない。「書き出し方」を知らないだけ。今日はそこをやろう。

まず知ってほしい「証明の正体」

証明問題って、要するに相手を納得させる説明文なんだよね。「結論を言うために必要な材料を集めて、順番に並べる」もの。料理のレシピと同じだよ。

証明は3つの部分でできている:

  1. 仮定(問題文で、はじめからわかっていること。「〜のとき」の部分)
  2. 根拠(使う図形の性質や、すでに正しいとわかっていること。「対頂角は等しい」など)
  3. 結論(証明したいこと。「〜を証明しなさい」の部分)

仮定から出発して、根拠を使いながら、結論まで順番に書いていく。それが証明だよ。

合同条件は3つだけ

三角形の合同を示すときに使える合同条件は、この3つだけ。ここが曖昧だと書けないので、先に確認しよう。

2つ目の「その間の」、3つ目の「その両端の」を飛ばして覚えていると、あとで出てくる「存在しない合同条件を使ってしまう」まちがいにハマりやすい。声に出して、この言葉ごと覚えよう。


証明が書ける3ステップ

ステップ1:ゴールを確認する

まず「何を証明しろと言われているか」を確認する。これが一番大事。

問題文の「〜を証明しなさい」の部分に書いてある。例えば:

ポイント
証明問題を見たら、まず結論(「〜を証明しなさい」の部分)を丸で囲む。これがゴール。ここから逆算して考える。

ステップ2:ゴールに必要な「条件」を逆算する

ゴールが「三角形の合同」なら、上の3つの合同条件のどれかを使う。つまり、「辺や角が等しいこと」を3つ見つければいい。ゴールが「AB=CD」のような辺や角のときは、それをふくむ2つの三角形の合同を先に示すことになる(あとの練習問題4がこの形)。

ここで図に印をつけよう。等しい辺には同じ印(辺の上に短い線を1本、2本…)、等しい角にも同じ印(○や×など)をつける。

ステップ3:型に当てはめて書く

あとは型に当てはめるだけ。三角形の合同の証明は、次の4つの部分を、この順番で書く。

合同の証明の型
△ABCと△DEFにおいて ← どの2つの三角形か宣言する

仮定より、○○=○○ …①
△△なので、○○=○○ …②
□□は共通だから、○○=○○ …③ ← 等しいものを3つ、理由つきで並べる

①、②、③より、〔使った合同条件〕ので ← どの合同条件か
△ABC≡△DEF ← 結論

〔使った合同条件〕のところには、たとえば「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」のように、合同条件をそのまま書く。

やることはこれだけ。証明を書くときに考えるのは、「どの2つの三角形か」と「等しい3つは何か」。文章を一から作る必要はないんだ。

そして、等しいものに書く「理由」は、まず次の4つから探そう。

まず探す理由はこの4つ
・仮定より(問題文ではじめからわかっていること)
・共通な辺(角)だから(2つの三角形が重なって使っている部分)
・対頂角は等しいから(線が交わっている図なら真っ先に疑う)
・平行線の錯角(同位角)は等しいから(∥の記号があったら探す)

このほかに「中点だから」「三角形の内角の和は180°だから」のように、問題に出てくる図形の性質を使うこともあるよ。

図を見て「仮定・共通・対頂角・錯角」を順番に探す。ひらめきを待つんじゃなくて、点検作業なんだ。


実際にやってみよう

【例題】 下の図のように、四角形ABCDの対角線ACとBDの交点をPとする。AB=DC、∠ABP=∠DCP のとき、△ABP≡△DCP を証明しなさい。

A---------------D
| \           / |
|   \       /   |
|     \   /     |
|       P       |
|     /   \     |
|   /       \   |
| /           \ |
B---------------C

よくある失敗答案と、正しい書き方

よくある間違い

AB=DCだから合同。∠ABP=∠DCPだし。以上。

正しい書き方

△ABPと△DCPにおいて

仮定より AB=DC …①
仮定より ∠ABP=∠DCP …②
対頂角は等しいので ∠APB=∠DPC …③
三角形の内角の和は180°なので、②、③より ∠BAP=∠CDP …④

①、②、④より、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので
△ABP≡△DCP

「よくある間違い」の答案、言いたいことは合ってるんだけど、証明としてはダメ。なぜかというと:

ここに注意:その角は「辺の両端」にある?
③の∠APBは、辺ABの両端の角じゃない(辺ABと向かい合う角)。だから①、②、③だけでは「1組の辺とその両端の角」にならないんだ。

そこで、三角形の内角の和が180°であることを使う。△ABPと△DCPは、2つの角(②と③)がそれぞれ等しいから、残りの角も等しくなる(④)。辺ABの両端の角∠BAPと∠ABPがそろったところで、合同条件を使うんだ。

証明は、型どおりに根拠をそろえて書くことが大事なんだ。

減点されやすい3つのまちがい

型がわかったら、減点されやすいまちがいも確認しておこう。

まちがい1:対応の順番がバラバラ

よくある間違い

△AOCと△BODにおいて
…
よって △AOC≡△DOB
(1行目と最後で、頂点の並べ方が変わってしまっている)

正しい書き方

△AOCと△BODにおいて
…
よって △AOC≡△BOD
(A↔B、O↔O、C↔D。対応する順にそろえる)

合同は「≡」の左右で、対応する頂点を同じ順に書くのがルール。1行目で△AOCと△BODと宣言したら、最後までその順番を崩さない。知っていれば防げる失点だから、いちばんもったいないところだよ。

まちがい2:「なぜ等しいのか」の理由を書かない

よくある間違い

AO=BO …①
CO=DO …②
∠AOC=∠BOD …③
(合っているのに、理由がゼロ)

正しい書き方

仮定より AO=BO …①
仮定より CO=DO …②
対頂角は等しいので ∠AOC=∠BOD …③

証明は「答えを当てる問題」ではなく「なぜそう言えるかを説明する問題」。だから理由のない等式は、たとえ正しくても証明にならない。逆に言えば、理由を書き添えるだけで拾える点があるということ。

まちがい3:存在しない合同条件を使ってしまう

よくある間違い

2組の辺と1つの角が等しいから合同。
(その角が2辺の間の角じゃないのに使ってしまう)

正しい考え方

使えるのは「2組の辺とその間の角」。
間の角じゃないときは、別の等しい辺や角を探し直す。

「2辺と、間じゃない角」では三角形は1つに決まらない。だから合同条件になっていないんだ。合同条件のところで「その間の」「その両端の」を声に出して覚えてほしいと言ったのは、ここで効くから。例題の④も、「その両端の角」をそろえるために必要だったんだよ。

書いたあとに、「この角、ちゃんと2辺の間にある?」「この2角、ちゃんと辺の両端にある?」と図で指差し確認する。これを習慣にすると、この失点は防げる。


練習問題4問(手を動かして)

型を覚えたら、あとは使うだけ。4問とも、上の型に当てはめて書いてみよう。ノートに実際に書くのが大事。読むだけだと、書けるようにはならないよ。

問題1

線分ABと線分CDが点Oで交わっている。AO=BO、CO=DO のとき、△AOC≡△BOD を証明しなさい。

問題2

△ABCで AB=AC である。辺BCの中点をMとするとき、△ABM≡△ACM を証明しなさい。

問題3

AB∥DC で、線分ACと線分BDが点Oで交わっている。AO=CO のとき、△AOB≡△COD を証明しなさい。

問題4(合同を使って、辺が等しいことを示す)

AB=AC の二等辺三角形ABCで、辺ABの中点をM、辺ACの中点をNとする。BN=CM を証明しなさい。

ヒント:

  1. ゴールは「BN=CM」→ 三角形の合同を使って等しい辺を導く
  2. どの三角形とどの三角形が合同? → △ABN と △ACM を見てみよう
  3. 中点ということは? → AM=AN(ABとACの半分)

書けたかな? 答え合わせをしよう。

問題1の解答

解答
△AOCと△BODにおいて
仮定より AO=BO …①
仮定より CO=DO …②
対頂角は等しいので ∠AOC=∠BOD …③
①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△AOC≡△BOD

∠AOCは辺AOと辺COの間の角。ちゃんと「間」になっているか確認できたかな。線が交わっている図が出たら、まず対頂角を疑う——これが型どおりの動きだよ。

問題2の解答

解答
△ABMと△ACMにおいて
仮定より AB=AC …①
Mは辺BCの中点なので BM=CM …②
AMは共通 …③
①、②、③より、3組の辺がそれぞれ等しいので
△ABM≡△ACM

ここのポイントは③の「共通」。2つの三角形が同じ辺を分け合っているとき、それは無条件で等しい。図を見て「重なってる辺・角はどこ?」と探す癖をつけよう。あと②は「仮定より」と書いてもいいけど、「Mは辺BCの中点なので」と、何から言えるのかまで書くほうが丁寧だよ。

問題3の解答

解答
△AOBと△CODにおいて
仮定より AO=CO …①
AB∥DCより、錯角は等しいので ∠OAB=∠OCD …②
対頂角は等しいので ∠AOB=∠COD …③
①、②、③より、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので
△AOB≡△COD

∠OABと∠AOBは、辺AOの両端の角。ここも指差し確認。そして∥の記号があったら錯角を探す、という反応ができれば、この問題は型どおりに解ける。

問題1〜3で考えていたのは、「等しい3つを探す」ことだけ。文章は毎回ほとんど同じだったよね。それが型で書くということなんだ。

問題4の解答

解答
△ABNと△ACMにおいて
仮定より AB=AC …①
Nは辺ACの中点、Mは辺ABの中点なので、ANはACの半分、AMはABの半分。
①より AN=AM …②
∠Aは共通 …③
①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△ABN≡△ACM
合同な図形の対応する辺は等しいので
BN=CM

ゴールが辺のときは、まず合同を示して、最後に「合同な図形の対応する辺は等しい」を使う。この流れも型の一部として覚えておこう。


途中まででも書こう・練習のしかた

証明は0点か満点、ではない
証明は、途中まででも書いてあれば部分点がつくことがある問題。
「△○○と△□□において」と書いて、等しいものを理由つきで1つ2つ挙げるだけでも、白紙で出すよりずっといい。
だから、わからなくても書き出しの1行は必ず書く。ここは全員が今日からできることだよ。

覚えようとしてノートを眺めるより、すぐテストするのが近道。

証明の練習のしかた
1.教科書やワークの証明問題を、答えを見ずに5分だけ書いてみる(白紙のまま終わらせない。1行目は必ず書く)
2.すぐ答え合わせ。×だったところに「対応の順番」「理由なし」「合同条件ちがい」のどれかをメモする
3.翌日、間違えた問題だけをもう1回書く。合っていた問題はやらない

同じ問題を2回書くのは面倒に感じるかもしれないけど、証明は同じ問題を書き直すことで型が身についていく。1日3問なら、10日で30問になるよ。

👦
えっ、これだけでいいの? もっと難しい問題を解かないとダメだと思ってた。
👨‍🏫
難しい問題も、書き方の型は同じなんだ。型で書けるようになれば、応用問題でも「等しいものを探す」ことに集中できる。まずは型を体に入れよう。

中3で習う相似の証明も、書く流れはこの型と同じだよ。

保護者の方へ
証明問題が苦手なお子さんに「もっと考えなさい」と言っても、何をどう考えればいいのかがわからないことがあります。考え方の前に、「書き方の型」を知らないだけということもあります。

上の型を印刷して机に貼っておくと、書き出しで迷ったときにすぐ見返せます。最初は型どおりでOK。型が身についてから応用力がついてきます。

まとめ

証明は、「やり方を知っているかどうか」で差がつきやすい単元。最初は型を見ながらでいいから、ノートに1問書いてみよう。書けたら、それがもう証明だよ。

証明の書き方を一緒に見てほしいときは、気軽に相談してね。

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この記事を書いた人:六田 佳志(ろっく先生)

福岡の個人家庭教師・学習アプリ制作者。生徒の「どこでつまずいたか」を毎週の指導で見てきた実例をもとに、テストで実際に失点しやすいポイントだけを解説しています。指導実例はT君の合格ストーリー、プロフィール詳細は運営者情報へ。