証明問題、白紙で出してない?
計算はできるのに、証明問題だけ真っ白…ということはないかな。
でもね、証明が書けないのは、数学の力やひらめきが足りないからとは限らないよ。「書き方のルール(型)」を知らないだけかもしれない。
まず知ってほしい「証明の正体」
証明問題って、要するに相手を納得させる説明文なんだよね。「結論を言うために必要な材料を集めて、順番に並べる」もの。料理のレシピと同じだよ。
証明は3つの部分でできている:
- 仮定(問題文で、はじめからわかっていること。「〜のとき」の部分)
- 根拠(使う図形の性質や、すでに正しいとわかっていること。「対頂角は等しい」など)
- 結論(証明したいこと。「〜を証明しなさい」の部分)
仮定から出発して、根拠を使いながら、結論まで順番に書いていく。それが証明だよ。
合同条件は3つだけ
三角形の合同を示すときに使える合同条件は、この3つだけ。ここが曖昧だと書けないので、先に確認しよう。
- 3組の辺がそれぞれ等しい
- 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
- 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
2つ目の「その間の」、3つ目の「その両端の」を飛ばして覚えていると、あとで出てくる「存在しない合同条件を使ってしまう」まちがいにハマりやすい。声に出して、この言葉ごと覚えよう。
証明が書ける3ステップ
ステップ1:ゴールを確認する
まず「何を証明しろと言われているか」を確認する。これが一番大事。
問題文の「〜を証明しなさい」の部分に書いてある。例えば:
- 「△ABC≡△DEF を証明しなさい」
- 「AB=CD を証明しなさい」
- 「∠A=∠D を証明しなさい」
ステップ2:ゴールに必要な「条件」を逆算する
ゴールが「三角形の合同」なら、上の3つの合同条件のどれかを使う。つまり、「辺や角が等しいこと」を3つ見つければいい。ゴールが「AB=CD」のような辺や角のときは、それをふくむ2つの三角形の合同を先に示すことになる(あとの練習問題4がこの形)。
ここで図に印をつけよう。等しい辺には同じ印(辺の上に短い線を1本、2本…)、等しい角にも同じ印(○や×など)をつける。
ステップ3:型に当てはめて書く
あとは型に当てはめるだけ。三角形の合同の証明は、次の4つの部分を、この順番で書く。
仮定より、○○=○○ …①
△△なので、○○=○○ …②
□□は共通だから、○○=○○ …③ ← 等しいものを3つ、理由つきで並べる
①、②、③より、〔使った合同条件〕ので ← どの合同条件か
△ABC≡△DEF ← 結論
〔使った合同条件〕のところには、たとえば「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」のように、合同条件をそのまま書く。
やることはこれだけ。証明を書くときに考えるのは、「どの2つの三角形か」と「等しい3つは何か」。文章を一から作る必要はないんだ。
そして、等しいものに書く「理由」は、まず次の4つから探そう。
・共通な辺(角)だから(2つの三角形が重なって使っている部分)
・対頂角は等しいから(線が交わっている図なら真っ先に疑う)
・平行線の錯角(同位角)は等しいから(∥の記号があったら探す)
このほかに「中点だから」「三角形の内角の和は180°だから」のように、問題に出てくる図形の性質を使うこともあるよ。
図を見て「仮定・共通・対頂角・錯角」を順番に探す。ひらめきを待つんじゃなくて、点検作業なんだ。
実際にやってみよう
【例題】 下の図のように、四角形ABCDの対角線ACとBDの交点をPとする。AB=DC、∠ABP=∠DCP のとき、△ABP≡△DCP を証明しなさい。
A---------------D
| \ / |
| \ / |
| \ / |
| P |
| / \ |
| / \ |
| / \ |
B---------------C
よくある失敗答案と、正しい書き方
AB=DCだから合同。∠ABP=∠DCPだし。以上。
△ABPと△DCPにおいて
仮定より AB=DC …①
仮定より ∠ABP=∠DCP …②
対頂角は等しいので ∠APB=∠DPC …③
三角形の内角の和は180°なので、②、③より ∠BAP=∠CDP …④
①、②、④より、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので
△ABP≡△DCP
「よくある間違い」の答案、言いたいことは合ってるんだけど、証明としてはダメ。なぜかというと:
- 「○○において」で始めていない(どの三角形の話か不明)
- 根拠に①②③…の番号をつけていない
- 対頂角など、足りない条件を書いていない
- どの合同条件を使ったかを書いていない
そこで、三角形の内角の和が180°であることを使う。△ABPと△DCPは、2つの角(②と③)がそれぞれ等しいから、残りの角も等しくなる(④)。辺ABの両端の角∠BAPと∠ABPがそろったところで、合同条件を使うんだ。
証明は、型どおりに根拠をそろえて書くことが大事なんだ。
減点されやすい3つのまちがい
型がわかったら、減点されやすいまちがいも確認しておこう。
まちがい1:対応の順番がバラバラ
△AOCと△BODにおいて
…
よって △AOC≡△DOB
(1行目と最後で、頂点の並べ方が変わってしまっている)
△AOCと△BODにおいて
…
よって △AOC≡△BOD
(A↔B、O↔O、C↔D。対応する順にそろえる)
合同は「≡」の左右で、対応する頂点を同じ順に書くのがルール。1行目で△AOCと△BODと宣言したら、最後までその順番を崩さない。知っていれば防げる失点だから、いちばんもったいないところだよ。
まちがい2:「なぜ等しいのか」の理由を書かない
AO=BO …①
CO=DO …②
∠AOC=∠BOD …③
(合っているのに、理由がゼロ)
仮定より AO=BO …①
仮定より CO=DO …②
対頂角は等しいので ∠AOC=∠BOD …③
証明は「答えを当てる問題」ではなく「なぜそう言えるかを説明する問題」。だから理由のない等式は、たとえ正しくても証明にならない。逆に言えば、理由を書き添えるだけで拾える点があるということ。
まちがい3:存在しない合同条件を使ってしまう
2組の辺と1つの角が等しいから合同。
(その角が2辺の間の角じゃないのに使ってしまう)
使えるのは「2組の辺とその間の角」。
間の角じゃないときは、別の等しい辺や角を探し直す。
「2辺と、間じゃない角」では三角形は1つに決まらない。だから合同条件になっていないんだ。合同条件のところで「その間の」「その両端の」を声に出して覚えてほしいと言ったのは、ここで効くから。例題の④も、「その両端の角」をそろえるために必要だったんだよ。
書いたあとに、「この角、ちゃんと2辺の間にある?」「この2角、ちゃんと辺の両端にある?」と図で指差し確認する。これを習慣にすると、この失点は防げる。
練習問題4問(手を動かして)
型を覚えたら、あとは使うだけ。4問とも、上の型に当てはめて書いてみよう。ノートに実際に書くのが大事。読むだけだと、書けるようにはならないよ。
問題1
線分ABと線分CDが点Oで交わっている。AO=BO、CO=DO のとき、△AOC≡△BOD を証明しなさい。
問題2
△ABCで AB=AC である。辺BCの中点をMとするとき、△ABM≡△ACM を証明しなさい。
問題3
AB∥DC で、線分ACと線分BDが点Oで交わっている。AO=CO のとき、△AOB≡△COD を証明しなさい。
問題4(合同を使って、辺が等しいことを示す)
AB=AC の二等辺三角形ABCで、辺ABの中点をM、辺ACの中点をNとする。BN=CM を証明しなさい。
ヒント:
- ゴールは「BN=CM」→ 三角形の合同を使って等しい辺を導く
- どの三角形とどの三角形が合同? → △ABN と △ACM を見てみよう
- 中点ということは? → AM=AN(ABとACの半分)
書けたかな? 答え合わせをしよう。
問題1の解答
仮定より AO=BO …①
仮定より CO=DO …②
対頂角は等しいので ∠AOC=∠BOD …③
①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△AOC≡△BOD
∠AOCは辺AOと辺COの間の角。ちゃんと「間」になっているか確認できたかな。線が交わっている図が出たら、まず対頂角を疑う——これが型どおりの動きだよ。
問題2の解答
仮定より AB=AC …①
Mは辺BCの中点なので BM=CM …②
AMは共通 …③
①、②、③より、3組の辺がそれぞれ等しいので
△ABM≡△ACM
ここのポイントは③の「共通」。2つの三角形が同じ辺を分け合っているとき、それは無条件で等しい。図を見て「重なってる辺・角はどこ?」と探す癖をつけよう。あと②は「仮定より」と書いてもいいけど、「Mは辺BCの中点なので」と、何から言えるのかまで書くほうが丁寧だよ。
問題3の解答
仮定より AO=CO …①
AB∥DCより、錯角は等しいので ∠OAB=∠OCD …②
対頂角は等しいので ∠AOB=∠COD …③
①、②、③より、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので
△AOB≡△COD
∠OABと∠AOBは、辺AOの両端の角。ここも指差し確認。そして∥の記号があったら錯角を探す、という反応ができれば、この問題は型どおりに解ける。
問題1〜3で考えていたのは、「等しい3つを探す」ことだけ。文章は毎回ほとんど同じだったよね。それが型で書くということなんだ。
問題4の解答
仮定より AB=AC …①
Nは辺ACの中点、Mは辺ABの中点なので、ANはACの半分、AMはABの半分。
①より AN=AM …②
∠Aは共通 …③
①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△ABN≡△ACM
合同な図形の対応する辺は等しいので
BN=CM
ゴールが辺のときは、まず合同を示して、最後に「合同な図形の対応する辺は等しい」を使う。この流れも型の一部として覚えておこう。
途中まででも書こう・練習のしかた
「△○○と△□□において」と書いて、等しいものを理由つきで1つ2つ挙げるだけでも、白紙で出すよりずっといい。
だから、わからなくても書き出しの1行は必ず書く。ここは全員が今日からできることだよ。
覚えようとしてノートを眺めるより、すぐテストするのが近道。
2.すぐ答え合わせ。×だったところに「対応の順番」「理由なし」「合同条件ちがい」のどれかをメモする
3.翌日、間違えた問題だけをもう1回書く。合っていた問題はやらない
同じ問題を2回書くのは面倒に感じるかもしれないけど、証明は同じ問題を書き直すことで型が身についていく。1日3問なら、10日で30問になるよ。
中3で習う相似の証明も、書く流れはこの型と同じだよ。
上の型を印刷して机に貼っておくと、書き出しで迷ったときにすぐ見返せます。最初は型どおりでOK。型が身についてから応用力がついてきます。
まとめ
- 証明は才能じゃなくて「型」。型を覚えれば、作文じゃなく穴埋めに近くなる
- まずゴール(結論)を確認してから、合同条件に合うように逆算する
- 型は「2つの三角形を宣言 → 等しい3つを理由つきで → 合同条件 → ≡で結論」
- 理由はまず仮定・共通・対頂角・錯角の4つから探す
- 合同条件は「2組の辺とその間の角」「1組の辺とその両端の角」まで丸ごと覚える
- 減点されやすいのは対応の順番/理由を書かない/合同条件の勘違い
- 白紙で出すのが一番もったいない!書き出しの1行は必ず書こう
証明は、「やり方を知っているかどうか」で差がつきやすい単元。最初は型を見ながらでいいから、ノートに1問書いてみよう。書けたら、それがもう証明だよ。
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