連立方程式で手が止まるのは、たとえばこんなときだよ。
- 解き方が2つあって、どっちを使えばいいか迷う
- やり方はわかったのに、計算すると答えが合わない
- 計算はできるのに、文章題になると手が動かない
どれも、手順を知れば直せるつまずきだ。この記事では、解き方の選び方 → 計算で符号をまちがえないコツ → 文章題を式にする手順、の順番で、例題と練習問題を使ってひとつずつ片づけていくよ。
② 式を引くとき・何倍かするときの計算ミスをなくせる
③ 出した答えを検算で確かめられる
④ 文章題を「表1枚」から式にできる
連立方程式は「文字を1つ消す」問題
連立方程式は、x と y、2つの分からない数を同時に求める問題だね。
ポイントは1つだけ。どちらか1つの文字を消して、1つの文字だけの方程式にすること。これさえできれば、あとは中1で習った一次方程式と同じだよ。
文字を消す方法は2つある。
- 加減法:2つの式をたしたり引いたりして、文字を1つ消す
- 代入法:「y = 〜」(または「x = 〜」)の式を、もう一方の式に代入して、文字を1つ消す
加減法と代入法、どちらを使う?
まず知っておいてほしいのは、連立方程式は加減法でも代入法でも解けるということ。どちらを使っても答えは同じだよ。それでも迷うのは、「どっちが計算がラクか」の見分け方を知らないから。目安は2つだけ。
・どっちも「2x + 3y = …」みたいな形 → 加減法
たとえばこの2つを見比べてみよう。
【ア】 2x + 3y = 12
3x - 3y = 3
【イ】 y = 2x - 1
3x + y = 8
【ア】はどっちも「2x + 3y = …」みたいな形だから加減法。【イ】は「y =」の形の式があるから代入法。「x = 〜」「y = 〜」の形が見えたら代入法、見えなければ加減法。まずはこれだけ覚えればOKだよ。
【ア】を実際に解くと——足すと y が消えて 5x = 15、つまり x = 3。これを 2x + 3y = 12 に戻すと 6 + 3y = 12 → 3y = 6 → y = 2。答えは x = 3, y = 2 だね。
加減法で「引く」ときは、カッコの中の符号が全部変わる
たとえばこの連立方程式。
3x + 2y = 12
x + 2y = 8
y の係数がどっちも「+2y」でそろってる。だから上の式から下の式を引けば、2y − 2y = 0 で y が消える。
ここで大事なのが、上の式から下の式を引くと、下の式の符号は全部ひっくり返るということ。ここが落とし穴だ。
(3x + 2y) − (x + 2y)
= 3x − x + 2y + 2y … ?
= 2x + 4y
→ yが消えない!おかしいぞ?
(3x + 2y) − (x + 2y)
= 3x − x + 2y − 2y
= 2x
→ ちゃんとyが消える
引き算は、カッコの中の項ぜんぶにマイナスがかかる。−(x + 2y) は −x − 2y。+2y が −2y に変わって、はじめて y が消えるんだ。右辺も同じように引いて 12 − 8 = 4。だから 2x = 4 で x = 2。これを x + 2y = 8 に代入すると 2 + 2y = 8 で y = 3 になるよ。
後ろの項がマイナスのときは、もっと注意。−(−y) は +y になる。
(2x + 3y) − (2x − y)
= 2x + 3y − 2x − y
= 2y
← 後ろの −y をそのまま写してミス!
(2x + 3y) − (2x − y)
= 2x + 3y − 2x + y
= 4y
← 引くと −(−y) = +y に変わる!
カッコの中の全部の符号がひっくり返るのは、中1の「正負の数」「文字式のカッコ外し」とまったく同じルールだよ。ここがあいまいなら、まず文字式のカッコ外しに戻って確認しよう。
② カッコを外すときは、下の式の符号を先に全部変えてから、たし算にする。−(x + 2y) なら、頭の中で −x − 2y に書き換えてから足す。
「いきなり引く」をやめるだけで、片方だけ符号を変えるミスを防げるよ。
係数がそろっていないときは、何倍かしてそろえる
「足しても引いても、どっちの文字も消えない…」というときもある。
【ウ】 2x + y = 8
3x + 2y = 14
このままだと、x も y も係数がバラバラで消えない。こういうときは、片方の式を何倍かして、係数をそろえるんだ。
どの文字をそろえるか決める
y の係数を見ると、上が「1」、下が「2」。だから上の式を2倍すれば、y の係数が2にそろう。
② 下の式: 3x + 2y = 14
③ 上から下を引く:x = 2
④ 2x + y = 8 に戻して:4 + y = 8 → y = 4
答えは x = 2, y = 4。最初に「どっちの文字をそろえるか」を決めるのがコツ。片方の式を何倍かするだけでそろう文字を選ぶと、計算がラクだよ。ここでは y(1を2倍すれば2)。x をそろえようとすると、上を3倍・下を2倍と、両方の式をかけ直すことになる。
何倍かするときは、右辺も忘れずに
もう1問。
2x + 3y = 7
x + y = 3
x を消すために、下の式を2倍して x の係数を2にそろえるよね。
正しくは、式全体を2倍だから右辺も忘れずに。x + y = 3 の両辺を2倍すると、
2x + 2y = 6
これで上の式から引くと、
(2x + 3y) - (2x + 2y) = 7 - 6
y = 1
代入するときは文字を取り違えない。最後に検算
y = 1 が出たら、もう片方の文字 x を求めるために、もとの式に代入するね。
このとき、y = 1 を「y」に代入するのは当たり前……なんだけど、緊張すると x のところに1を入れちゃうことがある。これも見落としやすいミスだ。
x + y = 3 に y = 1 を入れて、
x + 1 = 3
x = 2
答えは x = 2, y = 1。
2×2 + 3×1 = 4 + 3 = 7 ✓ ← ちゃんと成り立てばOK。
この検算をするだけで、計算ミスにその場で気づけるよ。
練習問題(計算)
ここまで読んだら、実際に解いてみよう。ノートに書いてやってみてね。
x − y = 1
2x + 3y = 12
2x + y = 11
答えを見る
練習①:足すと 2x = 8 → x = 4。戻して 4 + y = 7 → y = 3。答えは x = 4, y = 3
練習②:y の係数が両方「+3y」でそろってる → 上から下を引く。(4x + 3y) − (2x + 3y) = 18 − 12 → 2x = 6 → x = 3。x = 3 を下の式 2x + 3y = 12 に代入 → 6 + 3y = 12 → 3y = 6 → y = 2。検算:4×3 + 3×2 = 12 + 6 = 18 ✓ 答えは x = 3, y = 2
練習③:y = x + 2 を下の式に代入して 2x + (x + 2) = 11 → 3x + 2 = 11 → 3x = 9 → x = 3。戻して y = 3 + 2 = 5。答えは x = 3, y = 5
文章題は「式の前に表」
「計算はできるのに、文章題になると手が動かない」——これは頭の良し悪しでも、センスの問題でもない。「文章を式に変える手順」を知らないだけなんだ。だからその手順を、はっきり形にして渡すよ。
(基本は、「〜を求めなさい」の〜をそのまま x, y にする)
② 表を書いて、数字と文字を埋める
(速さなら「速さ・時間・道のり」、食塩水なら「濃度・食塩水・食塩」)
③ 「=」で結べるところを2か所さがす
(表のタテかヨコの合計が、たいてい式になる)
いきなり式を書こうとするから止まるんだ。式の前に表。順番はこれだけ。
何を x, y にするか決められないとき
文章を何回読んでも、x を何にするか決まらないまま時間が過ぎる——そんなときは、こう決めよう。
「求めなさい」の中身が2つあるなら、x と y の担当は最初から決まってる、ってこと。
「え〜っと、xは…全体の道のり…?いや時間…?」
→ 決められないまま図をながめて5分経過
問題文の最後を読む。
「上りと下りの道のりを求めなさい」
→ 上り x km、下り y km。即決。
単位をそろえる(分と時間、kmとm)
式は立ったのに答えが合わないときは、単位を疑おう。
時速3km で歩いた時間を出すのに、問題文の時間が「分」で書かれていたら、そのまま計算しちゃダメ。時速なら時間は「時間」でそろえる。20分は 20/60 = 1/3 時間だよ。
割合は「もとの数」にかける
割合の文章題でつまずきやすいのがここ。
「男子が 5%増えた」を、0.05 とだけ書いてしまう。違うんだ。5%増えたのは、去年の男子の人数の5%。だから式は 0.05 ×(去年の男子)になる。
男子5%増、女子3%減で全体9人増
→ 0.05 - 0.03 = 9
(何の5%なのか消えている)
去年の男子 x 人、女子 y 人
→ 0.05x - 0.03y = 9
「誰の何%か」を必ず文字にくっつける
割合には「の」がつく。「x の 5%」。この"の"を忘れなければ、何にかけるかで迷わない。
例題1:速さの文章題(表で解く)
A町からB町まで12kmの道のりを歩いた。途中の峠までは時速3kmの上り、峠からB町までは時速5kmの下りで、全部で3時間かかった。上りと下りの道のりをそれぞれ求めなさい。
ステップ①:聞かれているものを x, y に
「上りと下りの道のりを求めなさい」 → 上り x km、下り y km。
ステップ②:表を書く
速さの問題は、道のり・速さ・時間の表を書く。
| 上り | 下り | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 道のり(km) | x | y | 12 |
| 速さ(km/時) | 3 | 5 | — |
| 時間(時間) | x/3 | y/5 | 3 |
時間は「道のり ÷ 速さ」だから、上りは x/3 時間、下りは y/5 時間。表を埋めるだけで、時間の欄が勝手に出てくるでしょ。これが表を書く理由。
ステップ③:「=」で結べるところを2か所
表の右端(合計の列)を見て。道のりの合計=12、時間の合計=3。式が2本、目で見つかった。
x + y = 12
x/3 + y/5 = 3
下の式を15倍して分数を消す:5x + 3y = 45
上の式を3倍:3x + 3y = 36
引き算して 2x = 9、よって x = 4.5。x + y = 12 に戻して y = 7.5。
文章題は必ず検算する。問題文に書いてある数字(12km・3時間)に戻せるか確かめれば、その場で正誤がわかる。
例題2:割合の文章題
ある中学校の去年の生徒数は500人だった。今年は男子が5%増え、女子が3%減ったので、全体では9人増えた。去年の男子と女子の人数をそれぞれ求めなさい。
基準になっている方を x, y にする
割合の問題は、「去年」を x, y にする。今年を x, y にすると式がぐちゃぐちゃになる。
理由はかんたんで、「5%増えた」の基準が去年だから。基準になっている方を文字にする——これが割合の文章題の鉄則。
表を書く
| 男子 | 女子 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 去年(人) | x | y | 500 |
| 増減(人) | +0.05x | −0.03y | +9 |
もう式が見えてるね。
x + y = 500
0.05x - 0.03y = 9
下の式を100倍:5x − 3y = 900
上の式を3倍:3x + 3y = 1500
足して 8x = 2400、よって x = 300。x + y = 500 に戻して y = 200。
もし「今年の人数を答えよ」と聞かれたら、315人と194人。求めた x, y をそのまま書いて間違えやすいところだ。最後にもう一度、問題文の「何を求めなさい」を読み直すこと。
練習問題(文章題):食塩水
同じ手順でいけるか、自分で試してみて。
5%の食塩水と10%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を300g作りたい。それぞれ何g混ぜればよいか。
ヒント:表はこう。
| 5%の食塩水 | 10%の食塩水 | 混ぜた後 | |
|---|---|---|---|
| 食塩水(g) | x | y | 300 |
| 濃度 | 0.05 | 0.10 | 0.08 |
| 食塩(g) | 0.05x | 0.10y | 24 |
答えを見る
食塩水の合計:x + y = 300
食塩の合計:0.05x + 0.10y = 300 × 0.08 = 24
下の式を100倍:5x + 10y = 2400 → 5で割って x + 2y = 480
ここから上の式を引くと y = 180、よって x = 120。
答え:5%の食塩水 120g、10%の食塩水 180g
検算:120 × 0.05 = 6g、180 × 0.10 = 18g、合わせて24g。24 ÷ 300 = 0.08 = 8% ✓
食塩水も、速さも、割合も、やってることは全部同じ。表を書く → タテかヨコの合計を「=」で結ぶ → 2本の式ができる。パターンごとに覚え直す必要はないんだ。
練習の進め方
2週目:間違えた問題だけもう一度。全部やり直さない
3週目以降:2週目でまた間違えたものだけ。減っていく問題を追いかける
覚える時間より、テストする時間を増やそう。ノートを見返すより、自分で思い出しながら解くほうが記憶に残りやすい。解く → 間違えたものだけ再テスト、を回していこう。計算問題も、毎日2問ずつでいいから手を動かしてみよう。
連立方程式は一次関数の「交点」にもつながる
連立方程式は、このあと習う一次関数でも使う。一次関数では「2つの直線の交点を求める」場面が出てくるんだけど、その交点の座標を求める計算が、まさに連立方程式そのもの。ここでしっかり身につけておくと、関数の問題にもそのまま使えるよ。
まとめ
② 引くときは必ずカッコをつけて、カッコの中の符号を全部ひっくり返す
③ 消えないときは何倍かして係数をそろえる。右辺も忘れずに
④ 代入するときは文字を取り違えない。最後に、代入に使わなかったほうの式で検算
⑤ 文章題は式の前に表。「=」で結べるところを2か所さがす
連立方程式は「やり方の順番」さえ決まれば、あとは練習量で安定していく単元だよ。そして文章題で手が止まったら、式を書こうとせずに、まず表を書く。これだけで、白紙だった答案が埋まりはじめる。がんばれ。表、書こうな。
どこで手が止まっているのか自分では分からないときは、ろっく家庭教師がつまずきの原因を一緒に見つけるよ。
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