「志望校が、なかなか決まらない」。この時期、よく聞くお悩みです。
志望校は、いつ決めてもいいと思っています。早く決められるに越したことはありませんが、たいていの子は、なかなか決めきれません。それで大丈夫です。途中で変わっても、まったくかまいません。
大事なのは、楽しそうだなと思える仕事や夢に近づける道を、逆算して考えることです。そして何より、勉強へのモチベーションです。
この記事では、「なりたい自分」と、そこへ近づくための具体的な行動をつなぐ授業を受けた中学生の研究を紹介して、そのうえで、うちでの志望校の考え方をお話しします。
志望校は、仕事や夢から逆算する
志望校は、楽しそうだなと思える仕事や夢に近づける道として、逆算して考えます。途中で変わっても、まったく大丈夫です。志望校は変わっていいのです。
研究:「なりたい自分」と、具体的な行動をつないだ中学生
アメリカのミシガン大学のオイザーマンらは、「なりたい自分」(将来こうなっていたい、こうはなりたくない、という自分のイメージ)を、毎日の行動につなげるための短い授業を作り、その効果を調べました(2006年)。
参加したのは、デトロイトの中学2年生
アメリカのデトロイトにある中学校3校の、8年生(日本の中学2年生にあたる学年)264人です。多くが、収入の少ない家庭の生徒でした。同じクラスの中で、くじで半分ずつに分け、141人を授業を受ける組に、123人を授業を受けずにいつもどおりの選択の授業に出る組にしました。
授業の中身
授業は、週2回・7週間で、学校の選択の授業の時間に11回行いました。そのほかに、夜や週末に親子で参加する回が2回ありました。おもな中身は次のとおりです。
・大人になった自分のイメージに合う写真を選ぶ
・力をくれる人や物と、足を引っぱる人や物を描く
・未来までの道のりを線に描く。分かれ道やつまずきも書き込む
・なりたい自分に近づくための、具体的な行動を言葉にする。来年なっていそうな自分・なりたくない自分を選び、今の行動とつなぐ
・毎日の問題、勉強の問題、高校卒業までの道のりを、小さなグループで考える
・最後に、授業全体をふり返る
授業全体を通して伝えたのは、「だれにでも、つまずきや失敗はある。それは、なりたい自分が本当の自分ではない、という意味ではない」ということでした。
結果:成績の差は、2年間の追跡で続いた
授業を受けた生徒は、中2の終わりに、なりたい自分と、そこへ近づくための行動を、受けなかった生徒より具体的に書けるようになっていました。
成績にも差が出ました。中2の終わりの成績(数学・歴史・理科・英語の4教科、4点満点の平均)は、授業を受けた生徒が1.98、受けなかった生徒が1.83でした。州のテストをもとにした学力テストで合格した科目の割合も、83%と77%でした。
その1年後、9年生(日本の中学3年生にあたる学年で、この地域では高校の1年目)の終わりの成績は、1.64と1.36でした。どちらも成績は下がっていきましたが、授業を受けた生徒の方が下がり方が小さく、差は時間とともに広がっていきました。
そのほかにも、授業を受けた生徒は、9年生の春の宿題の時間が週2.51時間(受けなかった生徒は1.57時間)で、学校を休んだ日も、学期ごとに2日あまり少なくなっていました。落ち込み(抑うつ)の得点も低くなっていました。
著者は、授業で「なりたい自分」が変わり、それが毎日の行動(学校に行く、授業で前向きに取り組む、宿題をする)を変えて、成績につながった、という道筋を確かめています。
・授業には、「なりたい自分と具体的な行動をつなぐ」ことのほかに、「つまずくのは当たり前」と受け止め直すことや、仲間と目標が同じだと感じられることも入っていました。どれが効いたのかを分けて調べた実験ではありません。
・上の数字は、授業に5回以上出た116人と、それに見合う、授業を受けなかった112人を比べた推定です。くじで分けた264人全員で比べても、中2の終わりの成績と学力テストの差ははっきりしていましたが、9年生の終わりの成績の差は、統計でははっきりした差とまでは言えない大きさでした。
・成績の差の大きさは、著者の言い方で「小〜中くらい」です。
うちでやっていること
・楽しそうだと思える仕事や夢に近づける道を、逆算して考える
・模試の結果が悪いときは、まず分析する。落ち込みすぎても、気にしなさすぎてもだめ
・何より大事なのは、勉強へのモチベーション
なりたい自分と、今の行動をつなぐ
研究の授業でも、まず「大人になった自分」のイメージを持ち、それを、今できる具体的な行動とつなげていました。楽しそうだと思える仕事や夢に近づける道を逆算して考える、という私の考え方と重なります。
模試が悪いときは、まず分析する
模試の結果が悪いときは、落ち込みすぎても、気にしなさすぎてもだめです。まず分析して、どこで点を落としているのか、敵をはっきりロックオンしましょう。研究の授業でも、「つまずくのは当たり前で、それは、なりたい自分が本当の自分ではないという意味ではない」と伝えていました。
模試の分析のしかたは、定期テストは取れるのに模試で取れないに書きました。
志望校で迷っていたら
「志望校が決められない」「模試の結果を見て、志望校を変えるべきか迷っている」というお子さんがいたら、学年と今の状況をお問い合わせから教えていただければ、うちでの考え方をお伝えします。
参考文献
- Oyserman, D., Bybee, D., & Terry, K. (2006). Possible selves and academic outcomes: How and when possible selves impel action. Journal of Personality and Social Psychology, 91(1), 188–204.(本文)
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