「テストが早く終わったから、残りの時間は寝ていた」。そういう子が、本当に多いです。
テストは戦争です。最後の1秒まで、1点を追うものです。早く終わったら、誤字や脱字がないかを確かめて、もう1回解き直すくらいのつもりでいてください。
この記事では、テスト本番の時間の使い方と、「見直して答えを書き直すと損をする」という思い込みを調べた研究を紹介します。
時間が足りなくなるのは、やり方を思い出しながら解いているから
テストで時間が足りなくなる大きな原因は、やり方を思い出しながら解いていることです。テストで使える状態とは、見た瞬間に解ける状態のことです(じっくり考える問題は別です)。
見た瞬間に解ける状態にするための、テスト前の勉強のしかたは、テスト前は、ワークを眺めるより「何も見ずに解けるか」を試すに書きました。
そのうえで、本番では、次のように時間を使うよう伝えています。
始まった瞬間に、メモを書く
テストの直前まで、苦手なところを確かめておきます。そして、テストが始まった瞬間に、それをメモしてしまいます。ちょっとした裏ワザです。
解く順番は、自分で決めていい
前から順に解かなくてもかまいません。ただし、順番どおりに解かないと、解答欄がずれて書いてしまうことがあります。順番を変えるときは、そこだけ注意してください。
分からない問題は、考える問題でなければ、かけても30秒
じっくり考える問題でなければ、分からない問題にかけるのは、30秒までにします。道筋が見えているなら、そのまま解いてかまいません。
早く終わっても、寝ない
早く終わったら、まず誤字や脱字を確かめます。そのうえで、もう1回解き直すくらいのつもりで見直します。最後の1秒まで、1点を追ってください。
「最初の答えを変えると損」は本当?
見直しをしない理由として、「最初に選んだ答えの方が当たっている気がする」「書き直して間違えたら悔しい」という声を聞くことがあります。
実は、選択式のテストで答えを書き直すと点がどうなるかは、昔から調べられていて、書き直した答えは、まちがいから正解に変わることの方が多い、という結果が出ています。それでも、「最初の答えを変えると損」という思い込みは今も根強い、と研究者は書いています。
研究:書き直した答えは、「まちがい→正解」が多かった
ドイツのミュンヘン大学のバウアーらは、医学部3年生79人の、学期末の試験の答案を調べました(2007年)。
・答えを書き直したときは、問題用紙に、書き直した順番が分かるように印をつけてもらった(例:A→C)
全部で6,162の答え(79人×78問)のうち、1回書き直された答えは323(5.2%)でした。79人中72人が、少なくとも1問は書き直していました。
書き直した72人について、1人ずつの割合を出して平均すると、書き直した答えのうち、「まちがい→正解」が48.2%、「正解→まちがい」が21.6%、「まちがい→別のまちがい」が30.2%でした。まちがいから正解に変わった方が、正解からまちがいに変わったより、2倍以上多かったことになります。
点数は、書き直す前の答えのままだった場合と比べて、1人平均1.4点(78点満点)上がっていました。いちばん下がった人は−2点、いちばん上がった人は+8点でした。
2回目の書き直しは、ほとんど点にならなかった
一方で、同じ問題をもう一度書き直した場合(約20人・27問)は、「まちがい→別のまちがい」が77.9%で、点数はほとんど変わりませんでした(平均+0.11点)。
著者は、1回目の書き直しは、問題と選択肢を読み直して考え直した結果で、うろ覚えでも分かっていたことが生きたのだろう、2回目からは当てずっぽうが中心になっているのだろう、と考えています。
「迷ったら書き直していい」と伝えると
この研究では、くじで分けた一方の組(41人)にだけ、試験の前に「迷ったら、よく考え直したうえで1回書き直す方が、統計的に得になる」と伝えました。伝えられた組は、書き直した問題が平均4.8問で、伝えられなかった組(38人)の3.3問より、はっきり多くなりました。
ただし、書き直しで上がった点(1.8点と0.91点)も、合計点(53.1点と51.8点)も、統計では、はっきりした差とまでは言えませんでした。
著者は、「迷ったときは、よく考え直したうえで1回書き直す方が得だ」ということを、学生にも先生にも伝えるべきだとまとめています。
・書き直しは、学生が自分でつけた印から数えています。印のつけ忘れや、空欄にしておいて後から書いた分は、数えられていない可能性があると著者は書いています。また、全員に「書き直したら印をつける」よう伝えたこと自体が、書き直し方に影響したかもしれない、とも書いています。
・48.2%などの割合は、1人ずつの割合の平均です。
うちでやっていること
研究の著者は、書き直しが点になったのは、問題と選択肢を読み直して、考え直したからだろうと考えていました。テストの残りの時間は、まさにそのために使うものです。
・始まった瞬間に、直前まで確かめていた苦手なところをメモする
・考える問題でなければ、分からない問題にかけるのは30秒まで
・早く終わったら、誤字・脱字を確かめて、もう1回解き直す
見直しで拾える1点は、ケアレスミスの1点でもある
テストでは、ケアレスミスも、分かっていないのと同じ0点になります。見直しで拾える1点は、そういう1点でもあります。ミスの直し方は、【指導の考え方③】ケアレスミスも実力に書きました。
何度も変えるより、読み直して考え直す
研究では、同じ問題を2回、3回と書き直しても、ほとんど点になりませんでした。著者がすすめているのも、迷ったときに、よく考え直したうえで1回書き直すことです。迷ったまま答えを何度も変えるより、問題を読み直して、考え直してから決める方がよさそうです。
時間が足りない、早く終わってしまうときは
「テストでいつも時間が足りない」「見直しをしないまま、早く終わってしまう」というお子さんがいたら、学年と教科をお問い合わせから教えていただければ、うちで伝えている時間の使い方をお話しします。
参考文献
- Bauer, D., Kopp, V., & Fischer, M. R. (2007). Answer changing in multiple choice assessment: change that answer when in doubt – and spread the word! BMC Medical Education, 7, 28.(本文)
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